香椿は栴檀(せんだん)の若芽、栴檀は双葉より芳しのせんだんです。
若芽のころから香りを放つ栴檀。大成する人は子どもの頃から優れているという例えに使われるほど独特の香を放つ若芽です。
昔読んだ本の中に、北京っ子の春を告げる食べ物として、この「香椿」の事が書かれていました。
今まで残念な事に、春先の季節に北京を訪れる機会はなく、北京の老舗の漬物屋さんの「六必居」で塩漬けの「香椿」を買い求めた事はあったものの、今一つ風味に欠けていたことを記憶しています。
ところが、先日中国の友人から「原田さん、これ知ってますか?」といただいたものが生の「香椿」、その香りと形を見た瞬間に長年の憧れ人に出会えた気分になりました。香椿の香りは胡麻の香りを強くしたような、そして少しの臭気(ごめんなさい)と独特のものです。帰りの電車の中でバックから漏れる匂いにハラハラしながらも心躍らせ持ち帰りました。
香椿の定番料理はお豆腐と和える「香椿拌豆腐」、卵と炒める「香椿炒鶏蛋」です。今回はお豆腐と塩とごま油で和える「香椿拌豆腐」を作りました。
ほろ苦い香椿はいかにも春の食材、薬膳では清熱解毒で急に気温が上がることで生じる体の不調を整えたり、気の滞りのイライラと食欲不振を改善したりと、まさに春先の体を整える食材。この時期に世に出してくれる自然の摂理に敬意を感じます。
今年は4月から半月が清明節気、本格的な春が到来する節気です。中国では古くからこの時期にはご先祖様のお墓参りをする時期ですが、陽気の活動がさらに本格的になる季節なので、外にでて体に陽気を入れ込むという意味もあったのではと思います。旬の食材を体に入れ、このうららかな季節を体とお口で楽しんでください。

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