一斉に気温が上がり始め、辛夷(こぶし)、モクレン、桜、はなみずきと季節を告げる花たちが競って咲き始めました。薬膳では春は立春(2月初め)から立夏(5月初め)までを指します。薬膳の基になる中国伝統医学のバイブル、今から2000年以上前に書かれた『黄帝内経』の『素問』には「春は万物が活動を始める時期、早寝早起きを心がけ、緩やかに、万事のびのびと過ごしましょう」と教えてあります。
しかしながら、この時期は年度末や新年度にあたり、いつも以上に慌ただしい頃。また訳もなく憂鬱な気持ちになりやすい時期でもあります。それもそのはず、中医学で考えると、春と関連する五気(自然界の現象)は「風」で、春と関連する五臓は「肝」。「風」が原因の頭痛、めまい、ふらつきなど上半身にトラブルが現れやすくなります。また「肝」は「血」(けつ)と関係が深く、自律神経とも関係の深い臓ですが、この「肝」がダメージを受けやすい時期なので、「肝」の不調が原因の春特有のだるさ、イライラ、ゆううつ感などの精神の不安定、疲れ目、めまい、こむら返りなどの不調が現れやすくなります。おまけに現代病ともいえるにっくき花粉もその不調に拍車をかけてくる時期ですが、自然界の美しい贈り物にあふれたこの季節を五感で楽しめるように、知恵を絞って乗り切りたいものです。そこでおすすめは薬膳の効能を利用した花茶です。
花茶といえば真っ先に浮かぶのがジャスミン茶という方が多いと思います。ジャスミン茶は緑茶に生のジャスミンの花びらを散らして乾燥させ、そこから乾燥花びらだけを取り出し、また新しい生の花びらを散らして乾燥させるという作業を繰り返すことで緑茶にジャスミンの香りをつけたものです。薬膳の効能では、緑茶は体の余分な熱を取り去って、潤し、心を落ち着ける働きがあり、目の充血や頭痛の改善に効果があります。ジャスミンの花は肝の気の流れを良くするので、イライラうつうつした気持ちをスッキリさせる働きがあり、ジャスミン茶はまさに気持ちの安定しない時期にはピッタリのお茶です。
次におすすめは菊の花を乾燥させた「菊花」です。菊花は目の熱を冷ます作用があるので、花粉などでかゆみが強い時、また仕事で目を酷使した時などに緑茶にあわせると不快な症状の改善に効果が期待できます。これに目によいクコの実を合わせてもよいですね。
そのほか特に女性におすすめなのは玫瑰花(まいかいか)という花を乾燥させたものです。玫瑰花はバラに似た形と華やかな香りが特徴ですが、これも肝の気の流れを良くし、気のめぐりと血のめぐりをよくするので、不安定な気持ちや生理不順や頭痛の改善、肌のシミやくすみ防止の効果などによいとされています。これらはどれも美味しく香り高いので、身も心もリラックスできるので気分展開にもぴったりです。
春を薬膳花茶とともに楽しんではいかがでしょう。
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