毎年9月の初め頃から、中国の百貨店のお菓子売り場や老舗食品店にはたくさんの「月餅」が並び始め、売り子さんたちの呼び声とともに「月餅」を買い求める人たちの姿は、この時期の風物詩です。
「月餅」は旧暦の8月15日(今年は新暦10月6日)、一年で一番美しいとされている中秋節に食べられるお菓子です。中秋節には、家族で、『中秋節快楽』(中秋節おめでとう)との挨拶を交わし、「月餅」を食べながら五穀豊穣と家族円満を祈りながらお月見をするという大切な日なのです。陰は月、陽は太陽、この二つの関わりで森羅万象が成立するという、陰陽五行説の世界観に基づく中華圏では伝統的な祝日です。
月餅は中秋節には欠かせないお菓子で、家族で食べるのはもちろんですが、親しい友人、大切な人に贈り物とすることも大切な習慣となっています。
また医食同源の中国では、月餅の餡にも健康に暮らせますようにとの思いを詰めこんだ食材がたくさん使われています。秋から冬にかけての体を整えるナッツや胡麻、心を落ち着け、エイジングケア効果があり生薬としても使われている蓮の実、デトックス作用や邪気払いに使われる小豆、また体液を増やすアヒルの卵の塩漬けなどバランスよく入っています。あまり日本人にはなじみのない塩漬け卵ですが、甘い餡に塩味が実によく合い、月餅の風味を引き立ててくれます。ぜひ一度召し上がっていただきたいと思います。
過去のブログはこちら👇
