薬膳スープや薬膳茶、デザートによく使われる棗(なつめ)。敦煌でご提供している薬膳スープの王様「十全大補湯」や、夏バテ予防の韓国料理の参鶏湯にも入っていますので、お召し上がりになった方も多いと思います。
棗(なつめ)というと何か特別な果物のような気がするようですが、実は日本では奈良時代以前に中国から薬として入ってきて日本国中に広まったといわれています。今でも国産の棗(なつめ)は少量ながら、庭木などで見ることができ、私の住むマンションの庭にも毎年秋になると赤い実をつけていて、娘たちが小さい頃は拾っておままごとに使っていました。その後木は伐採され、寂しい思いがあったのですが、朝のmy散歩道の横浜市の小学校の門の横に棗(なつめ)の木を見つけて以降、初夏に小さな乳白色の花を咲かせ、7月頃から実をつけ始め、8月、9月と秋になるにつれ、薄緑の実が赤く色づく様を見ることが大きな楽しみの一つとなっています。
棗(なつめ)は、このように都会でもみかけるのですが、残念ながら日本で食用として栽培されているのは少ないように思います。薬膳の本場中国では「一日食三棗 終生不顕老」(一日3粒の棗を食べることで、老い知らず)といわれていて、あの楊貴妃も大変好んだと伝わっています。実際、中国では乾燥した棗(なつめ)をドライフルーツのようにそのまま食べたり、スープ、デザート、粥に入れて普段から良く食べられる食材です。まだ青い生の棗(なつめ)をかじってみると、熟して乾燥させたものとは違い、りんごのような優しい甘さで、とっても美味しいですよ。
以前職場でご一緒だった天津育ちで日本在住の同僚が「子どもの時に食べた棗入りの万頭※の味が忘れられない」と思い出話をされた事があり、訪中した際、北京のスーパーで見つけた刻んだ棗入りの万頭をお土産にしてたいそう喜んで下さり、中国では普段から棗(なつめ)を良く食べているのだなと思った記憶があります。
※万頭(まんとう)は発酵させた小麦を形成して蒸した中国式のパン、中国北部地方の主食
棗(なつめ)はスーパーフード。生薬名は大棗(たいそう)、気と血を増やし、心を落ち着け、消化機能を整え、疲労倦怠や不眠に良いとされています。そのまま食べられる以外に皆さんよくご存じの「葛根湯」、夏バテや疲労倦怠を感じる時の「補中益気湯」不眠症や子どもの夜泣きに処方される「甘麦大棗湯」など様々な漢方薬に使われています。女性の生理中、妊娠時、産後や授乳中の方にはおやつとして食べることをお勧めしますが、食べすぎには注意しましょう。
棗(なつめ)は柿や桃などと違って早く実をつけるようなので、その効能を知れば知るほど、我が家にも庭や畑があれば苗木を植えたいと思うのですが・・。
食べ物の持つ働きを知り、日常から体を整える知恵、大切にしたいですね。
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