🌸梅の花🌸
各地から梅が満開の知らせが届いています。梅は春の訪れを告げる花、その時期になると小さく可愛い花を咲かせてくれ、あたりに漂うほのかな香りは心に温かい小さな幸せを運んでくれるような気がします。今朝のテレビの情報番組でも話題になりましたが、梅の別名は「風待花」。陰陽五行で春の気は「風」、まさに春の風を待つ花ですね。
梅を食べるといえば日本人はやはり梅干しですが、中国では古来から梅の花にも薬効があるとされ食されていたようです。
宋の時代に書かれた『山家清供』や清の時代に書かれた『本草綱目拾遺』などにはいくつかの梅の花の薬としての効能と食べ方についての記述があります。薬用として使われた梅は緑萼梅(りょくがくばい)(別名白梅)が多く、沸騰湯に氷砂糖や蜂蜜と梅の花を漬けこんで飲む方法や炊いた粥に入れて食べるなどの方法が記載されています。
私にとって梅を食した思い出は、以前薬膳の研究会で作った梅がゆです。
とある日研究会のメンバーの一人が手にいれた緑萼梅でお粥を作りました。土鍋で炊いた粥の中に花を入れ、少し煮たところで火を止めふたを開けたとたんに広がる高貴な梅の香りにみんなで息をのみました。『本草綱目拾遺』によると緑萼梅は疏肝理気、脾胃の清陽の気の上昇を助ける。粳米は胃気を養う。脾胃虚弱、または湿による胃脘痞満、食欲不振に用いる。とあります。つまり、春先特有のイライラや焦燥感をなくし、消化機能を整え、気を増し、体にたまった余分な湿デトックスし、食欲を増進してくれる。ということでこの時期の食養生そのものです。
梅がゆを食べながら、悠久の時の中で、季節に寄り添い、楽しみ、受け入れてきた先人たちの暮らしにしばし思いを馳せることができました。
春の養生は五臓の「肝」の働きをうまく整え、大地に芽吹く緑や空に向かって伸びる「木」のようにのびやかく過ごすことです。 うららかな春の日差しの中で、梅の花愛でに行かれてはいかがでしょう。
過去のブログはこちらから☟
