24節気 春分コラム
春分(しゅんぶん)3/21〜4/4頃

24節気の中でも馴染みの深い「春分」の候になりました。
そろそろ桜も開花し、一気に春めいてくる時期ですね。
春分とは太陽が真東に昇り、真西に沈み、昼と夜の時間がほぼ半分になる日、つまり中医学にとって陰陽調和の大切な日です。
この春分を挟んだ7日間が春のお彼岸(秋は秋分)にあたりますが、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉も、単に風情を表す言葉ではなく、太陽と地球の関係から見て、彼岸の中日である春分は、長かった寒い時期(陰が旺盛)から暑い時期(陽が旺盛)に転換する日です。
という歴とした意味を持つ言葉です。
仏教では、ご先祖様が暮らす世界を「彼岸」、私たちが暮らす世界を「此岸(しがん)」といいますが、極楽浄土は遙か西の彼方にあり、太陽が真西にある「春分」は、現世の此岸がご先祖様の暮らす彼岸と一番近くなる日なので、お墓参りをしてご先祖様にご挨拶をするという習慣が生まれたようです。
実際、春分の頃から急に気温も上がり、気候の変動が激しい時期となります。一層体調管理には気をつけて過ごしたいものです。
この時期のおすすめ食材・・トマト

トマトといえばこれから夏にかけて出回る野菜ですが、体を冷やす働きや体を潤す効果があり、汗で失われた水分を補い、肌の乾燥を防ぐ作用があります。また、春の臓である「肝」を整えるので、肝の不調によるイライラ、不眠気味の方に加え、血圧が高めの人にはおすすめです。
また春の時期には紫外線がぐっと増える時期でもありますが、まださほど気温も高くなく、日焼け対策がついおろそかになりがちです。トマトは薬膳では潤いを作り出す野菜とされていて、また栄養学でも強い抗酸化作用のあるリコピンが豊富なトマトは、日焼け対策には効果が高いとされています。
ジョギング愛好家の私も、お日様をたくさん浴びた日には努めて食べるようにしています。しかしながら、注意したいのが調理法。
トマトは体を冷やす食材なので、まだ冷える春の頃や梅雨時には生食を控え、加熱調理がおすすめです。
そこで私の今年の春分行事食は・・トマトのおこげにしようと思います。
以前、中国の友人達との会食でおこげ料理(鍋巴)が出てきた際、揚げたてのおこげに熱いタレがかかった瞬間、一人が「春雷一声」と声を上げました。この時の音はよく春雷に例えられることから、この即興の掛け声の演出で、食卓は大いに盛り上がりました。グルメで知られる乾隆帝はこの音を「春雷驚龍」と表現したとのこと。
中国には春分は龍が天に昇る頃といわれる諺があるのですが、これらの言葉からは、春の稲妻の中に龍が天に昇っていく様子が頭に浮かび、季節、風情、世界観がぐるぐるとつながり、中国食文化の奥深さと楽しさが食事に花を添えてくれます。

春は血や潤いを増やすことが大切な時期です。さてトマトには何を加えましょう。
「えびやいかは味よし、効能よしで決まり!あとは・・」。
なんて考えながら食材選びをするのも、薬膳料理の醍醐味。
いつもの食材で季節を楽しむ食養生、大切にしたいです。
◇二十四節気(にじゅうしせっき)とは◇
「立春」「春分」「夏至」など、季節を表す言葉として今も使われている二十四節気。
1年を春夏秋冬の4つに分け、さらにその季節を6つずつ細かく区切った、自然の移ろいを示す24の暦です。
太陽の動きをもとに作られ、古くから暮らしや農作業の目安として受け継がれてきました。
◇敦煌の薬膳への取り組み◇
中国名菜敦煌では、薬膳料理研究家・原田裕子先生の監修のもと、季節に合わせた薬膳メニューをご提供しています。
二十四節気に寄り添いながら、先生のコラムと旬のおすすめ食材も掲載しています。

