二十四節気コラム
立春(りっしゅん)2/4~2/19頃

「立春」という響きは、心を浮き立たせてくれます。
先週高松を旅し、市内の栗林公園と瀬戸内に浮かぶ直島を訪ねました。
ちょうど寒波と重なり、時折小雪が混じる中にも、陽の光は明るく暖かく、公園の庭園の梅の花と、少し早く開いたネコヤナギに、立春の足音が近づいてくるのを感じました。
「立春」は、冬の間はなるべく臓を休ませ、長い寒い時期をじっと過ごしてきた自然界のすべてのものが芽吹きはじめ、生命の誕生を迎える時期に入ったよ、と告げる日です。

今よりずっと日常生活が過酷だった昔、
人々は命をつなぐ季節の始まりを待ち焦がれており、この大切な日だからこそ、市井の人々の無病息災を願う心が、豆まきなどの行事となり、今に続いているのだろうと思います。
薬膳は「未病先防」。
日々の食事で病気になりにくい体を整える、つまり予防医学が根幹となっています。
春の臓は「肝」、血を蓄える臓です。
長い冬を終え春に向かう体は、血を補い、巡らすことが必要となってきます。
この時期のおすすめ食材・・『なつめ』

一日3個のなつめは医者を遠ざける、という諺があります。
なつめは、鉄分やカルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラル、葉酸や食物繊維などが豊富なスーパーフード。
薬膳では「血(けつ)」を増やし、潤いを増し、消化機能を高め、精神不安や不眠の改善に効果があるとされ、多くの漢方薬の材料として使われています。
また薬膳では、「血」には主に次の二つの働きがあります。
① 全身を巡り、栄養と潤いを与え、内臓を養う。
「血」は巡りが悪くなり、不足すると、髪や肌や爪の潤いは失われ、目が乾燥し、また倦怠感や生理痛の原因となります。
② 精神活動を支える。
「血」が欠乏すると、不眠や不安を感じるようになります。私も子宮筋腫によるひどい貧血だった頃、まさに精神が不安定な時期がありました。家を出た後、異常に戸締りが気になったり、夜中に漠然とした不安感にさいなまされたことがあり、またその頃には爪が欠けたり、肌はボロボロな状態だったので、のちに薬膳を学んでからその理由がわかり、血を整えることが大切だと実感しました。
なつめは、食べ物を全身に運ぶための消化機能を高める働きが期待できるので、この効果はとても大切ですね。
乾燥したなつめは、最近は手軽に買えるようになりましたので、お茶やスープやお粥に入れたり、また中にくるみを挟んでお茶請けにしたりと、気軽にいつもの暮らしに取り入れたいものです。
ただ、食べ過ぎには注意しましょう。
食べ物の持つ力を理解し、その季節や体調に沿ったものをいただき、日々の食事で明日の体づくりを考えることは、まさに薬膳の真骨頂であり、古くから伝わる大切にしたい知恵です。
◇二十四節気(にじゅうしせっき)とは◇
「立春」「春分」「夏至」など、季節を表す言葉として今も使われている二十四節気。
1年を春夏秋冬の4つに分け、さらにその季節を6つずつ細かく区切った、自然の移ろいを示す24の暦です。
太陽の動きをもとに作られ、古くから暮らしや農作業の目安として受け継がれてきました。
◇敦煌の薬膳への取り組み◇
中国名菜敦煌では、薬膳料理研究家・原田裕子先生の監修のもと、季節に合わせた薬膳メニューをご提供しています。
二十四節気に寄り添いながら、先生のコラムと旬のおすすめ食材も掲載しています。
