元宵節(げんしょうせつ)は上元節、燈籠節ともいわれ、中国の伝統的な祝日として毎年、旧暦正月の十五日にあたる日にお祝いします。日本でいう小正月にあたり、今年は2月12日になります。元宵節は旧正月に続く最初の大切な祝日であり、また旧暦新年の最初の満月の日です。元宵節が過ぎると一連のお正月の行事も終わりを迎えます。
その日は街には飾りをつけた提灯(ランタン)が飾られ、各家庭では年の初めの満月に一家の円満と繁栄の願いながら、丸い元宵(餡の入った団子)を食べる習慣があり、人気の元宵を買い求めお店に並ぶ人の列も、この日の風物詩となるほど人々の生活にとっては大切な日でもあります。
日本でも長崎・中華街の「ランタンフェスティバル」は有名で、長崎の街には15,000個のもの提灯(ランタン)が飾られこの日をお祝いします。昨年は俳優の福山雅治さんと仲里依紗さんが皇帝と皇后に扮しパレードに参加され、抽選で選ばれた約2万人以上の人が、パレード見物に興じたことが大きな話題となりました。
元宵は、一口サイズのお団子で、一般的にはたっぷりの湯で茹でたお団子を温かいゆで汁と一緒に椀に入れていただきます。お団子の中に詰まった伝統的な餡はナツメ、黒ゴマ、小豆などですが、以前北京のレストランにいただいた元宵は、ちょうどその年の元宵節がバレンタインデーと重なっていて、元宵の中からトロリととけた甘いチョコレートが出てきました。シェフの遊び心に思わずくすりと笑った懐かしい思い出です。
薬膳の見方で餡の効能を考えると、ナツメは胃腸を整え、貧血防止、睡眠の質を上げる果物で「一日3個のナツメは医者を遠ざける」といわれる果物、黒ゴマもまた貧血気味、寝つきの悪い人や足腰の衰えを感じる人などエイジングケアには欠かせない食材です。さすが医食同源の国、冬から春に移る時期、それぞれにダメージを受けやすい腎と肝の二つの臓を補う食材と、気を作るもち米を使っていて、まさに延年益寿(健やかに健康寿命を延ばす)を願う縁起物の養生食だなと感じ入ります。
ではチョコレートは?実はチョコレートの主原料であるカカオは気を補い、また血のめぐりを良くする食材。温かいチョコレート仕立ての元宵もまた寒さでめぐりが悪くなりがちの血の流れを良くするに一役買ってくれそうですね。
行事食は人々の暮らしの中の大切な習慣、次の世代につないでいきたいですね。
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